五苓散(ごれいさん)
適応症 水瀉(すいしゃ)性下痢 急性腸炎(腸カタル) 嘔吐(おうと) 二日酔 日射病(暑気あたり) 肝炎 肝硬変 黄疸(おうだん)
胆石、胆のう疾患 胆のう炎 すい炎 腹膜炎 心臓弁膜症 腎炎 ネフローゼ 腎盂(う)炎
膀胱炎(ぼうこう)炎 尿道炎 糖尿病 三叉神経痛(しんけいつう) 涙のう炎 夜盲症    
               
目標 むやみにのどが渇いて、水を飲むにもかかわらず尿量減少するもの。頭重、頭汗、悪心、嘔吐あるいは、著しい浮腫(ふしゅ)を伴うこともあります。

 

構成 沢瀉(たくしゃ):3 白朮(びゃくじゅつ):2 茯苓(ぶくりょう):2 猪苓(ちょれい):2 桂枝(けいし):1
         
         
備考 本方は、腎臓疾患に用いる代表薬として有名ですが、消化管や細胞間隙(げき)に停滞する過剰水分を血液に導入して、口渇(こうかつ)を治し利尿(りにょう)をはかります。水瀉(すいしゃ)性下痢や小児の白色下痢便症にはとくに有効です。本方の適応する嘔吐は、のどが渇いて水を飲みたがり、水を飲むと多量の水をまるで投げ出すように勢いよく吐くもので、二日酔の症状に有効です。

本方は、他の処方とよく合わせて用いられます。例えば平胃散(へいいさん)「胃苓湯(いれいとう):急性胃腸カタル」、小柴胡湯(しょうさいことう)「柴苓湯(さいれいとう):腎炎、肝炎」、茵陳蒿湯(いんちんこうとう)「黄疸(おうだん)」、葛根湯(かっこんとう)「感冒の発汗増強」などです。

本方と平胃散(へいいさん)との合方を胃苓湯(いれいとう)といい、水瀉(すいしゃ)性下痢や浮腫に繁用されます。また、小柴胡湯(しょうさいことう)との合方を、柴苓湯(さいれいとう)と名付け、肝臓、胆のう、腎臓疾患、腹水の溜まった腹膜炎など、その応用範囲は極めて広く、しばしば難治な症状に奏効するものです。感冒の場合、本方と葛根湯(かっこんとう)を合方すれば、発汗作用を強めて治療を促進するし、またこのニ方の合方は、五十肩、神経痛に応用すると利尿とともに著しく苦痛を軽減させます。本方は、また新薬による副作用や、漢方治療における誤治の場合の応急処置用としてよく用いられます。

 


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