本方は、「柴胡剤(さいこざい)」の代表処方で、体力中等度の人の季助下部の圧痛抵抗「胸脇苦満(きょうきょうくまん)という」、寒熱往来(かんねつおうらい)「悪寒と熱感を交互に感じる」、食欲不振があり、口が苦く悪心(おしん)、嘔吐(おうと)があって、舌に白苔(はくたい)を生ずるなどの症状を目標に使用します。 本方は、極めて、応用範囲の広い処方です。まず、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)との合方を、柴朴湯(さいぼくとう)と呼び、気管支ぜんそくの発作時ではなく、緩解に体質改善的に用います。また、亜急性・慢性の咽頭炎や中耳炎には、本方に桔梗石膏(ききょうせっこう)を合わせて用います。五苓散(ごれいさん)との合方を柴苓湯(さいれいとう)といって、腎炎・ネフローゼあるいは、慢性肝炎の代表処方となります。また、慢性肝炎には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)との合方がしばしば用いられます。
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