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チョウセンアサガオ （ナス科チョウセンアサガオ属：1年草：草丈 ～100センチ：花期 ～9月）

薬効
有毒 鎮痛 痙攣止
分布生育場所

科名：ナス科/属名：チョウセンアサガオ属
和名：朝鮮朝顔/学名：Datura metel L.
熱帯アジア原産という大型の１年草で明治初期に輸入栽培され野生化している
園芸品種として赤色や八重咲などにも改良されているという
南米原産のキダチチョウセンアサガオ


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見分け方・特徴

熱帯アジア原産という大型の１年草で高さ１～１．５メートル
茎は、直立して淡緑色、全体に無毛
葉は、広卵形で先端は尖る
花は、８～９月ころに、葉脈からアサガオに似た白色の花が午後開く
果実は球形で刺のある朔果（さくか）で淡褐色の種子が多数入っている


採集と調整
開花期の葉を乾燥したものを、ダッラ葉「曼陀羅華（まんだらげ）」
種子を乾燥したものを、ダッラ子「曼陀羅子（まんだらし）」という


薬効・用い方
有毒部位：全草

有毒成分：ヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミンなどアルカイド系

中毒症状：葉の汁が眼に入ると瞳孔が開く、口渇き、吐き気、笑ったり騒いだりするという


曼陀羅華（まんだらげ）は、鎮痛、鎮痙（ちんけい）、咳止めに用いられるというが毒性が強いので使用はできない

華岡青州が世界で始めて、乳がんの全身麻酔の手術に用いたという曼陀羅華（まんだらげ）は、チョウセンアサガオの葉を乾燥したもので、「通仙散」の処方に含まれている

葉や種子は、麻酔剤のプロム水素酸スコポラミンの製薬原料として用いられる


その他
名の由来は、江戸時代に薬用として渡来して、チョウセンとし、花がアサガオに似ているので、チョウセンアサガオになったという

また、漢名の、曼陀羅華（まんだらげ）とは梵語（ぼんご）で、仏様が説法するとき、天から降りてきて人の心に喜びを感じることができる花という意味で、中国で呼ばれた

華岡青州とマンダラゲ
華岡青州（1760～1835）は、世界で始めて全身麻酔薬を創製して乳がん手術に成功した紀州（和歌山県）の外科医として知られる
華岡青州は、麻酔薬の創製には、和漢古今の薬書を読みあさり、深山に分け入って草根実を採取し、空き地に薬草を栽培して、鳥や動物に与えて薬効を記録して、みずから及び母や妻にも与えて薬効を調べた。その結果、母は死に、妻は中毒性の失明で目が見えなくなった

青洲が創製した「通仙散」とは
マンダラゲ（チョウセンアサガオの花、葉、実）、ソウウズ（ヤマトリカブト及び近縁種の根塊）、ビャクシ（ヨロイグサ、オウモンウドの根）、トウキ（ホッカイトウキの根）、センキュウ（根茎）、テンナンショウ（根茎）を各配合して作られた

マンダラゲは、日本には１７世紀末ころに渡来して、１８世紀には舶来の園芸品種として一般に栽培されていたという
小野蘭山が著した「本草綱目啓蒙」には、俗名キチガイナスビと呼ばれたように、チョウセンアサガオの有毒性も一般的に知られていた

マンダラゲの麻酔薬としての初めての効用は、南蛮・紅毛系の外科書「南蛮流金瘡療法」には、「・・・煎薬を投与して半時たって・・・肉を切って痛みを覚えない。・・・大疵を縫うとき、茎の煎汁を呑ませて針で縫う」という記述がある

青洲より先にマンダラゲ配合の薬方処方したのは、京都の花井才蔵と弟子大西晴信であり、大西晴信は、青洲と同時代の人物である
花井・大西の薬方は、中国明時代に著された「本草綱目」に収載された薬方とマンダラゲの使用量などほとんど同一だという

青洲は、花井・大西薬方を参考にして、マンダラゲの用量を増やし麻酔効果を増し、溶媒を酒から湯煎にして、体内吸収速度を抑えて安全性を高めた「通仙散」を創製したという（参考文献：宋田一/日本の名薬）


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Photo Masayuki Tsuno
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