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ムクゲ        (アオイ科フヨウ属:落葉低木:樹高 〜4メートル:花期 〜9月)

薬効
小便不利 かゆみ止め 水虫(みずむし) いんきん・たむし
分布生育場所

科名:アオイ科/属名:フヨウ属
和名:木槿/別名:ハチス/生薬名:木槿花(もくきんか)/木槿皮(もくきんぴ)/木槿子(もくきんし)/学名:Hibiscus syriacus
小アジア原産の落葉低木・小高木
広く植栽されていて園芸品種は多い

アオイ科フヨウ属フウリンブッソウゲ(風鈴仏桑花/風鈴扶桑花)

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見分け方・特徴

ムクゲの幹は直立で樹皮は灰白色で高さ2〜4メートルにもなります。
葉は、長さ5〜12センチの卵形で少し3裂して、葉柄(ようへい)があり、葉縁には不整な鋸歯(きょし)があり、先端は尖っています。
花は、夏8〜9月に葉のわきから短柄を出して、直径6〜8センチの、淡紫色か白色の5弁の美花をつけます。
雄しべは多数集まった単体雄ずいで、雌しべの花柱は5裂しています。
果実は刮ハ(さくか)で、約25センチ、5本の稜(りょう)がある長楕円形で、5片に裂けて多数の種子を撒きます。
多数の種子は、平たい腎臓形をしていて長い毛がついています。


採集と調整
ムクゲは、薬用には白色種を用いますが、全株が薬用になります。
夏に少し開きかけた、蕾(つぼみ)を採取して天日で乾燥させます。
これを生薬(しょうやく)で、木槿花(もくきんか)といいます。
また、夏に茎、幹、根の樹皮をはいで水洗いして、乾燥したものは、生薬で木槿皮(もくきんぴ)といいます。
果実が未熟のころに採取して天日で乾燥したものは、生薬で木槿子(もくきんし)といい、水虫薬として知られる

栽培:ムクゲの繁殖は、挿し木により簡単にできます。
前年に伸びた枝を1〜2月の寒いときに採取して、砂の中に埋めておきます。
3月ころにそれを取り出して挿し木します。用土は、鹿沼土(かぬまつち)、川砂などの排水の良いものが適しています。
ムクゲは、花の種類が多く、畑や生垣、土手などに植えることができ、鉢植えとしてでも栽培ができます。


薬効・用い方
有効成分は、花に粘液質、サポナリンなどを含む

木槿皮(もくきんぴ)は、「本草綱目(ほんぞうこうもく)」にも、水虫、たむしに用いられています。

一般には、解熱(げねつ)、利尿(りにょう)、解毒(げどく)、かゆみ止めに効き目があるとされています。
とくに水虫には、細かく刻んだ木槿皮(もくきんぴ)10グラムを、ホワイトリカー0.2リットルで漬け込んで、3〜6ヶ月後に、こして患部に塗布します。

下痢には、木槿花(もくきんか)を、1回量3〜6グラムを水0.2リットルで煎じて、温かいうちに温服します。これは、作りためしないで、そのつど作り、温服します。        
木槿花(もくきんか)も木槿皮(もくきんぴ)も同様の効果がありますが、果実や葉も用いることができます。        


その他
中国の古書「本草綱目(ほんぞうこうもく・1590)」には、李時珍(りじちん)の説として、ムクゲの樹皮と花は、月経不順や腫瘍(しゅよう)、かいせんを治し、洗眼すれば目の病気もよくなり、肌の乾きをうるおし、体の調子をよくするとの記述があります。

また、陳蔵器(ちんぞうき)は、血便を伴う下痢や下痢後の、のどの渇きを止め、お茶代わりに飲むと、よく眠れるようになると言っています。

しかし、日本ではムクゲは一般的には、観賞用として広く栽培されています。

ムクゲの名前の由来は、木槿(もくきん)を、そのまま音読みにして付けた名前ということですが、ムクゲの花は、花が朝開いて夕方にはしぼむことから、うたたかの栄華にたとえて、「槿花(きんか)一朝の夢」という表現もあります。
また、「万葉集」では、秋の七草のひとつとして紹介される、朝貌(あさがお)とは、ムクゲのことを指しているという説もあります。


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Photo Masayuki Tsuno
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